留学から海外移住を目指す方法
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移住を見据えた海外留学
コロナの影響により、人々の時間の使い方やものの捉え方が変化しました。その結果、自分のライフスタイルやキャリアプランを見直す人が増え、海外移住について考える人も出てきています。
海外移住の正攻法は、留学して現地で就職し、永住権を目指すことです。しかし非常にハードルが高く、それを実現できるような留学をするには綿密かつ柔軟な計画が必要です。
こちらでは留学から永住までに必要なプロセスや、国別の永住権申請難易度を解説します。海外永住を見据えて留学をしたい人は、ぜひ参考にしてください。
当サイトに掲載する情報は、ビザ申請にあたってアドバイスをしたり申請結果を保証するものではありません。このページは2021年3月現在の情報を基にまとめたものです。国ごとの制度や必要な条件、難易度などは毎年変化しています。
ビザの手続きや海外への移住までの計画は有資格者のアドバイスに基づき慎重に行うことをおすすめします。
Contents
海外移住に必要なこと
海外で永住権を獲得するには、計画の段階から必要なことを把握するのが重要です。国によって永住権の申請条件は異なりますが、共通して以下のようなものが必要です。
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高い英語力(語学力)の修得
海外で正規留学や専門留学をする際は、一定の語学力が必要です。就職の際は、仕事で使えたり資格を修得できたりする語学力が求められます。また永住権を申請する際は、国が定めたレベルの語学力を証明しなければなりません。
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就労経験や資格・スキルの修得
海外で就職する際は資格や経験、スキルが重視されます。卒業後に就労ビザを得るには、在学中・卒業後の就労期間に積む職務経験や、職業に関連したスキルアップ、業界内の情報収集が非常に大切です。
留学で学ぶ内容や職種を決める際は、国が指定する人材不足の職業に注目しましょう。特にオーストラリアやニュージーランド、カナダではそのような職業に限定して就労ビザを発行、または永住権申請までのポイントがたまりやすいシステムを導入しています。
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資金の用意
正規留学や専門留学には、高額な留学費がかかります。現地で就職する計画であっても、それまでの資金が必要です。また銀行に一定額以上を保持していない場合、ビザ自体が申請できない可能性もあります。
永住権の申請には長い年月がかかります。資金はしっかり準備したうえで、留学を始めることが重要です。
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必要なビザの取得
永住権獲得までのルートによって、必要なビザはさまざまです。大学や専門学校で留学してから現地就職を目指す場合は
1. 学生ビザで就学
2. 卒業ビザや就労許可を申請して、一時滞在中に職務経験を積む
3. 就労ビザを取得してさらに就労経験を積む
という流れになります。
特に就労ビザの取得は難しく、永住権獲得へのもっとも高いハードルと言えます。
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チャンスを逃がさない姿勢
永住権の申請や獲得には、運も大きく関係します。抽選やビザの規定変更など、自身の力が及ばない要素があるのも事実です。
その中で永住権獲得の確率を上げるには、適した職業に関連した学位を得たのち、現地で長く就労することが重要です。また勉強や就職の先を見据えた継続的な努力や、チャンスを探す・チャンスに気づける能力を養うこと、そのチャンスをものにする積極性なども、永住権を掴むポイントです。
海外移住への流れ
1.海外移住のための留学プランを決める
修得すべきものは学士以上の学位や、専門学校での資格です。国が指定する職業での就労ビザを目指す場合は、その職種にあった分野や資格を選択します。また卒業後に卒業ビザや就労許可が発行される学校・学位を選ばなければなりません。
この段階で学ぶことを定められないと、後の就労に影響します。永住権の申請条件をしっかり確認し、計画を練ることが重要です。
状況によっては大学や専門学校へ行くために語学力を上げる、足りない学位を修得するなどの計画も必要です。留学プランが複雑になるため、留学エージェントに相談してみましょう。
2.就労許可が取れる学位や留学プログラムの受講
ただ学位や資格を取るだけでなく、就労を見据えて積極的に学び、就職のチャンスを作っていくことが重要です。
資格をとる際は、種類だけでなくレベルにも注目しましょう。レベルが高い資格ほど、永住権に繋がりやすい国もあります。インターンシップなど実践の機会がある場合は、それを就職に結びつけられるように活動しましょう。
3.卒業・就労許可の申請
卒業ができる見込みが立ったら、卒業ビザや就労許可の申請をします。
4.就労開始
卒業ビザや就労許可での滞在中は、学位に関係する職種で仕事を行いつつ、就労ビザを発行してくれるスポンサー企業を探します。働いてスキルアップするだけでなく、その後の就労に向けた情報収集やコネクションづくりも大切です。この期間の行動が、就労ビザ取得のチャンスに大きく影響します。
5.長期的な就労ビザの取得
スポンサーになってくれる企業に就職し、就労ビザを取得します。永住権獲得までの中で最も高いハードルです。
6.永住権申請条件を満たすための活動
就労ビザでの仕事中も引き続きスキルアップに努めたり、次のスポンサーになってくれる企業を探したりします。また永住権の申請条件がポイント制の国は、その他のポイントを上げるための活動や勉強が必要です。英語力や一般常識などの試験結果が必要な国は、その勉強も行います。
7.永住権の申請
条件を満たしたら、永住権を申請します。必要書類などをしっかりと揃え、ミスなく行いましょう。
残念ながら永住権は100%獲得できるものではありません。申請しても通らなかった際のプランを考えておくことも重要です。
国別・海外移住の難易度
こちらでは永住先として有名な5か国の海外移住難易度を、申請条件や留学から申請までの流れとともに解説します。
※難易度は5段階表記で、5が最も難しいレベルです。
ニュージーランドへの移住:難易度2
留学から目指す永住権の条件
ポイント制の技能移民部門(Skilled Migrant Category)で永住権を目指すのが一般的です。学歴や職歴、ニュージーランドでの雇用状況、資格が必要な職種の場合はその有無によってポイントが加算され、ポイントが高いほど永住権獲得の可能性が高くなります。また語学力の証明にはIELTSやTOEFLなどのスコアが必要です。
永住権申請までの手順(例)
1. 学生ビザで留学し、大学や大学院、専門学校で職業に関連した学位を修得2. 卒業後にポストスタディ―ワークビザ(Post Study Work Visa)を取得し、就労
3. 就労経験を活かし、就労ビザを取得
4. 英語力、ポイント、年収(ニュージーランド中間値以上が必要)の条件を満たした状態で永住権を申請
メリット・ポイント
ニュージーランドの永住権申請システムはさまざまな条件からなるポイント制なので、比較的難易度が低いのが特徴です。またニュージーランドで必要とされている職種はポイントが付きやすいため、勉強すべき分野が絞りやすいと言えます。
カナダへの移住:難易度2
留学から目指す永住権の条件
カナダで永住権を取得する方法は、州独自の推薦プログラム等もあり、非常に多岐にわたります。州を問わず、留学生の方が永住権の取得を目指される場合、エコノミック・クラス(Economic Classes)のカナディアン・エクスペリエンス・クラス(Canadian Experience Class)での申請が一般的です。エクスプレス・エントリー(Express Entry)と呼ばれる制度を使い、学歴や職歴、語学力、年齢等により加算されたポイントを基に招待が届きます。語学力の証明には、英語の場合はCELPIPかIELTS General、フランス語の場合はTEF CanadaまたはTCF Canadaの結果をCLB(Canadian Language Benchmark)で点数化します。
永住権申請までの手順(例)
1. 公立のカレッジや大学、大学院で学位を修得2. 卒業後にポスグラビザ(Post-Graduation Work Permit)を取得し、就労
3. 就労中にその他ポイントや条件を満たすための活動・勉強
4. ポイントを満たした状態で永住権を申請
メリット・ポイント
カナダで留学から永住権を目指すメリットは、公立のカレッジ・大学卒業後のポスグラビザの期間が長く就労経験が積みやすいことです。就労ビザは2年以上の通学の場合に3年、それ以下の場合は通学した期間と同じ期間で発行されます。またポスグラビザは雇用主が限定されていないオープンワークパーミットビザのため、就職先の選択肢が多いのもメリットです。
また、留学段階からCo-opビザを活かして就労経験を積めるのも魅力的です。Co-opとは学生ビザに付随する就労ビザで、カリキュラムの一環としてインターンシップができます。Co-op先はビジネスやホスピタリティ、ツーリズムなど、受講したプログラムに関連した業種である必要があります。Co-opでのインターンシップ期間は、原則、永住権申請時の就労期間にはカウントされませんが、学生ビザやワーホリでのアルバイトよりも専門的な仕事ができるほか、のちの長期就職に繋がるチャンスがあります。(一部の州の推薦プログラム等、申請カテゴリーによってはCo-op期間も就労期間に含めることができます。)
オーストラリアへの移住:難易度3
留学から目指す永住権の条件
技術独立永住ビザ(Subclass 189)や技術指名永住ビザ(Subclass 190)の獲得を目指します。永住権の申請条件は年齢や英語力、学歴、資格、就労経験によってポイントを満たす形式です。永住権適用となる職種は、国の職業リスト・MLTSS(※1)やSTSOL(※2)で指定されているものに限定されます。英語力はIELTSやケンブリッジ英検のスコアで証明します。
※1:MLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List)記載の職種では、最大4年間のビザが取得できます。3年間の就労後に、永住権の申請が可能です。
※2:STSOL(Short-term Skilled Occupation List)記載の職種では、最大2年間のビザが取得できますが、一部のビザを除き永住権の申請はできません。
永住権申請までの手順(例)
1. 大学や大学院、専門学校で、職業リスト指定の業種に関する学位・資格を修得2. 卒業ビザを取得し、職業リストに指定されている業種で就労
3. 就労中にスポンサー企業を見つけ、就労ビザを取得
4. 就労ビザで3年以上就労
5. ポイントを満たした状態で永住権を申請
メリット・ポイント
オーストラリアの永住権申請もポイント制なので、アメリカやイギリスと比べると難易度は低いと言えます。卒業ビザの期間が18か月から4年間と長いのも魅力的です。またビザが取れる職種が限定されているため、留学プランが立てやすいと言えます。
アメリカへの移住:難易度5
留学から目指す永住権の条件
グリーンカードと呼ばれる永住権の中で、EB-2ビザまたはEB-3ビザの申請を目指します。EB-2ビザは化学や芸術、事業の分野で修士号以上の学位を持つ人、また学士号を持ち5年以上の職務経験ある人が申請できます。EB-3ビザは専門的職業で学士号(短大卒業以上)をもち、当職業で2年以上の訓練・就労した人が申請できます。どちらのビザもスポンサーとなってくれる雇用主や、労働省による審査も必要です。
永住権申請までの手順(例)
1. コミカレや大学、大学院を卒業し、学位を修得2. OPTで就労しつつ、就労ビザを発行してくれるスポンサー企業を探す
3. 就労ビザを取得して一定期間就労
4. EB-2またはEB-3の申請条件を満たした状態で、永住権を申請
メリット・ポイント
スポンサー企業を探す際に活用できるのが、学んだことをアメリカで実践する制度・OPT(Optional Practical Training)です。OPTは100%参加できるものではありません。またOPT期間中の雇用主は自分で見つける必要があり、仕事の内容は専攻に関連していなければなりません。そのほか学校が提供するワークショップの参加や、学校からの承認も必要です。
しかしOPTは受講プログラムごとに申請でき、OPTの回数が多いほど就労ビザのスポンサー企業を見つけるチャンスが増えます。例えばコミカレを卒業して1年間のOPT後、4年制大学に編入して1年間、大学院に進学してもう1年間と、計3年間のOPTができる可能性があります。
イギリスへの移住:難易度5
留学から目指す永住権の条件
イギリスの永住権の申請条件は、就労ビザ(Tier 2 / Skilled Worker visa)やワークパーミットなど指定のビザを取得し、イギリスで合法的に5年間継続して就労することです。また英語力(IELTS Life Skills B1 など、指定の試験)とイギリスに関する知識の証明(Life in the UK)の二つのテストに合格する必要もあります。
永住権申請までの手順(例)
1. イギリスの大学や大学院を卒業2. イギリスに2年間滞在できるGraduate routeでビザを取得し、就労
3. 職業経験を積みつつ、スポンサー企業を見つけて就労ビザ獲得
4. 5年間以上就労する
5. 英語と知識の試験を受験し、永住権を申請
メリット・ポイント
2021年7月1日より、Tier 4ビザによる就学で学士以上の学位を修めた留学生は、2~3年の就労許可(Graduate route)が得られるようになります。イギリスはBrexitやコロナの影響により、海外から優秀な人材を集めることに積極的になっているため、今後永住へのオプションが増えていく可能性があります。
海外移住を目指すなら計画的な留学を
海外で永住権を目指すなら、現地での就職を見据えた留学が現実的です。留学の際は永住権を申請するための条件や、国が求めている人材になる方法を考え、それらに合わせた就学・就労のプランを考えましょう。
大切なのは、具体的かつ現実的な計画を綿密に練ることです。非常に複雑な計画になるため、不安がある人やアドバイスが欲しい人は留学エージェントに相談してみてください。エージェントではさまざまなプランを考慮し、本人の希望に沿う最適な計画を提案します。また留学準備や現地生活のサポートも充実しており、一貫して安心の留学ができます。
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